2006.01.01 Sunday
池島の炭鉱住宅 高層棟01
![]() 池島の炭鉱住宅 高層棟(奥から順に25・27・29・31号棟) 長崎市池島町 (地図) 撮影時期 2005年9月 新年あけましておめでとうございます。今年も当ブログALL-Aをよろしくお願いいたします。さて、2006年冒頭からスタートする新シリーズは、長崎県の炭鉱住宅を取り上げます。 長崎県の池島というかつて炭鉱で栄えた島には、炭鉱住宅(炭住)として建設された鉄筋コンクリート(RC)造の集合住宅が現在も数多く残っています。閉山後は住民が流出し、人が住んでいる住棟と無人の住棟の割合は、私が島を車で見回った感じでは半々といったところでしょうか。同じく長崎県の炭鉱の島であった軍艦島や崎戸島の炭住は廃墟化が進み荒廃しているのに対して、池島は往時の姿をほぼ保っています。 大半の住棟は低・中層棟です。ところが、例外的というか別格というか、島の一角に4棟の高層住棟が一列に並んでいるエリアがあります。まるで城壁か要塞を思わせる威容は、一目見るなり息をのむほどの圧倒的な迫力を持ちながら、しかし、住む者もなく静かに佇んでいるのです。
池島の集合住宅は公営(町営、長崎市に合併後は市営ということになる)住宅と炭鉱会社が建てた社宅の2種類がありますが、部外者にはどの住棟がどちらに属するのかは分かりませんでした。ゼンリンの住宅地図でも部分的にしか分からず。ただ、その情報と外観から判断するに、この高層棟は社宅と考えて間違いないでしょう。公営住宅にしてはデザインが特殊すぎます。なお、池島の集合住宅に関する資料が見つからず、閉鎖されて内部にも入れないので、以下の記述はあくまでも外観からの推測です。
![]() ▲29号棟の北立面 凸状部分の少なくとも中央部は階段室で、そこからさらに細長く突き出た部分はダストシュートと見られます。5階にのみ片廊下が設けられており、上層階のコミュニティスペース的な機能を担っていたことでしょう。凸状部分の窓を数えると9階ありますが、最上階は屋上に突出したペントハウスであり、住戸としては8階です。階段室の凸状部や柱型のように見えるダストシュートの縦ラインの繰り返し、中間階の帯状部、風雨にさらされたコンクリートのテクスチャーなどによって、純粋に機能的にデザインされた建築物ながら、実に重厚感があります。 ![]() ▲奥:25号棟、手前:27号棟の北立面 4棟は、立面のデザインによって2棟ずつ(25・27と29・31号棟)2種類に分けられます。前掲の29号棟と比べると、こちらの住棟は凸状部の窓の数や片廊下に違いが見て取れます。特に、片廊下は吹きさらしのバルコニー状である点が大きく異なっています。 片廊下階の住戸の通風・採光の面ではバルコニー状が有利。しかし、片廊下を上層階のコミュニティスペースとするなら、内部空間化して風雨をしのげた方が望ましい。そのように考えると、25・27と29・31号棟では建設時期が多少ズレているのかもしれません。 写真を見てすぐ分かるように、27号棟は明らかに近年に外壁が塗り替えられています。また、25号棟も下半分だけ補修がなされています。しかし、いずれもサッシュは当時の木製のまま交換されておらず、ガラスも割れたまま。どうやら補修の途中で工事がストップしているようです。この補修工事は、おそらく池島炭鉱の再活用絡みで実施されたものの何らかの理由で中断したと思われます。 ![]() ▲31号棟の側面(西立面) 北立面を一見しただけでは特殊な構造の建物に見えますが、妻側、つまり側面の壁を見るとオーソドックスなラーメン構造であると分かります。エレベーターの有無は不明。しかし、機械を収めるにしてはペントハウスが小さいことから、たぶんエレベーターはないと思います。 ![]() ▲25号棟(左)と27号棟(右)の間 エレベーターなしで7〜8階まで上がるのは大変だと思うでしょうが、実はブリッジの存在によってこの住棟は単なる8階建てとは言い難いところがあります。どういう意味かというと、これらの住棟は北向き斜面に建っていて、斜面上部から5階部分の棟間に大きなブリッジが架かっているのです。つまり、5階に直接アプローチできる動線があるわけで、その意味では8階建てというより4階建ての住棟を2段重ねしたものと考えた方が、この住棟の特徴を捉えていると言えます。文章で説明してもちょっと分かりにくいでしょうが、次回のエントリーで南立面の写真を見れば分かります。 ![]() ▲池島の全景(国土交通省 国土情報ウェブマッピングシステム 国土画像情報(カラー空中写真)より) 北東部の港と南西部に住棟が並んでいます(上が北)。島の中央からやや左寄りに見えるグラウンドと青緑色の屋根が小中学校の運動場と体育館で、高層棟はこの左下にあります。私が訪れた時点(2005年9月)では港周辺の住棟の半分程度と島中央部の最も住棟が集中している地区に人が住んでいました。 ![]() ▲高層棟周辺のアップ(出典は同上) 棟番号がひとつ飛びなのはその南側の住棟が26・28…となっていて、千鳥状に番号が割り振られているため。南側の住棟は尾根に沿って並んでおり、先述の通り高層棟は北向き斜面の中腹に位置します。尾根から25・27号棟と29・31号棟の間にそれぞれブリッジが架かっているのが分かりますでしょうか(白い帯状のもの)。 |








