2007.05.01 Tuesday
大分市と別府市の建築・近代化遺産巡り
連休前半、大分市と別府市に行ってきました。第一目的は公団ウォーカーのてるる君が存在を報告してくれた大分市のスターハウス。これは実にユニークなデザインでした。近いうちにレポートします。
で、さすがにこれひとつのために大分まで行くのは何なので、例のごとく建築・近代化遺産巡りをしてきました。建築畑の人間にとって大分・別府に行くなら磯崎詣でと決まっています。実は隣の県に住んでいながら大分の磯崎建築を見るのは初めてだったりするのです。いつか行かなければと思っていたのですが、行くきっかけがスターハウスとは、昔の私には想像もつかない理由ですね。
以下、見た順番に概要を述べます。
【大分市】 大分銀行赤レンガ館 旧 二十三銀行本店。タツキン(辰野金吾)が設計した銀行建築の一つです。 ![]() NTT大分支店別館 赤レンガ館の近くで偶然見付けました。手持ちの資料やネットにまったく情報が載っていませんが、戦前の逓信建築ではないかと思います。後述する児童館とよく似ており、別府に吉田鉄郎の建築が2件あることを考えるとこれも彼ではと想像したくなりますが果たして。細部は簡略化されているから吉田とは違うかな。しかしなぜ紹介されていないのだろう。実は戦後の建築? ![]() 西日本シティ銀行大分支店 磯崎新の初期作。竣工時の銀行名は福岡相互銀行で福岡シティ銀行を経て現在の名前に。残念ながら大分支店は解体済みで更地になっていました。遅かったか… 建築学会の保存要望書(PDF)に対する所有者の回答(PDF)によると、保存は技術的・コスト的にハードルが高かったみたい。 アートプラザ 磯崎の初期作で旧図書館。この日見た磯崎建築の中ではこれが一番かっこいいな。内部には磯崎の常設展示室があります。建築設計者は必見。確か『新建築』にもちょっと載っていたけど、中東のカタールで潤沢なオイルマネーを使って物凄いものを造ってますよ。
![]() 大分市情報学習センター 磯崎の初期作。旧 大分市視聴覚センターから名称変更。外観は地味ながら、内部空間はモンローカーブがあるなど、彼のデザインボキャブラリーを味わえます。壁面には直筆サインがありますw 豊の国情報ライブラリー 磯崎が設計した新しい図書館。見所は柱が林立する開架閲覧室。
![]() 西大分駅 明治44年竣工の木造駅舎が今なお現役。入口右側の柱に「M44」と記された建物財産標があります。 ![]() 富士紡績大分工場 明治末期に建てられた工場や事務所などが今も現役。しかし残念ながら敷地外からはよく見えず。とりあえず望遠で撮ったものの、後でチェックしたら手前の電線にピントが合って建物はボケてる orz だから電線は嫌いなんだ。マニュアルで撮る練習をしなきゃな。 【別府市】 別府カトリック教会 戦後間もない頃に竣工した教会。設計者不詳。 ![]() 別府市児童館 旧 別府郵便局電話分室。設計は逓信省営繕課で山田守と並ぶ主要設計者の吉田鉄郎。外壁仕上げはともかく、全体的な構成は前述のNTT大分支店別館と似ています。 ![]() 中央町公民館 徒歩で移動中に発見した公民館。後述する吉田の中央公民館とは別の建物です。不老泉という温泉を併設した公民館ってところが別府らしい。昭和32年竣工。昭和モダンの香りが濃厚に漂うデザイン。 別府市中央公民館 旧 別府市公会堂。設計は吉田鉄郎。ファサードの写真しか見たことなかったのですが、側面や裏側の意匠も面白い。 千辛万苦の場 別府市中央公民館の敷地内に移築保存されている小さな木造建築。江戸末期の旅館の離れ。長州出身の明治の政治家、井上馨は幕末に暗殺されかかった後、別府に逃れて静養しました。そのことを記念して保存されています。 ![]() 野口病院 大正時代の西洋建築で、今も同病院の管理棟として使われています。一目見るだけでメンテナンスが行き届いていることが分かるほど保存状態は素晴らしい。竣工直後と言っても通用します。 ![]() 駅前高等温泉 別府駅前にある大正時代のハーフティンバーの木造建築。現役の温泉です。 京都大学地球熱学研究施設 京大の研究所で、大正時代のレンガ建築。もっと辺鄙なところにあるかと思っていたらビーコンプラザ(後述)の前か。規模はまったく違えど存在感はビーコンに負けていません。ここに到着時点で太陽が山の稜線に隠れてしまい、日が当たった写真を撮れなかったのがちょっと残念でした。 ![]() ビーコンプラザ 県のコンベンションセンターや市民ホールなどの複合施設。磯崎の設計だけに大きなボリュームを上手くまとめています。しかしこう言っちゃなんだが、別府の街にこの種の建物は似合わないと思うんだがなあ。展望塔のグローバルタワーにも全然客いないし。時間がなくて別府タワーには行きそびれたけど、ああいうテイストの方が別府らしいのではないか。ビーコンプラザは街のスケールから逸脱していると感じました。もっとも、それはこの場所にコンベンションセンターを持ってきた行政側の責任だけど。
短時間ながら別府の街を歩くと和風・洋風・モダンな面白い建物が至る所で目に付きました。それらを横目で見ながら今回はスルーせざるを得なかったのが心残りでなりません。それに、この街にはまだ昭和の温泉街の雰囲気がよく残っています。しかし、林立するマンションでそのイメージが損なわれつつあることも事実です。コンパクトカメラを片手にゆっくりまち歩きを楽しみたい、別府はそんな街でした。 |










